米軍基地内の赤煉瓦倉庫群 

 

 子供の頃、川の向こうに米軍基地が見える町に住んでいました。今は橋がかかり、一部分は返還されて佐世保公園に、奥のニミッツパークも米軍管理下ながら自由に出入りできるようになっているので何の不思議も無い場所ですが、当時は海の向こうの遠い場所のように思えました。

 そのニミッツパークの向こう側、米海軍基地は今でもやはりゲートの奥、異国という印象を強く受けます。

 ところが赤煉瓦写真集発行の手伝いをした際に、佐世保の米海軍基地内にある建物の多くは、旧日本海軍時代の施設を手入れして使っていることを知り驚きました。下の画像下部の赤煉瓦倉庫群はもちろん、現在司令部のある上部の教会のような建物もそうだというのです。中には明治時代に出来たものもあるとのこと。

 欧米の旧市街に行くと、古い建物を大事に使って景観を守っていることに感心します。戦争で空爆を受けて街が崩壊してしまっても、写真とか図面、記憶をもとに昔の街並みを再現してしまうというのだから恐れ入ります。下の画像の赤煉瓦倉庫もよく見ると一部修復中のようです。

 

 

 この景観も、米軍に占領されたから残ることができたと考えると、少し複雑な思いにかられます。米軍基地外にも赤煉瓦倉庫はあるのですが、一部を除き手入れが悪いものが多く、海上自衛隊の敷地にあったものなどは近年取り壊されてしまいました。

 この画像は弓張岳展望台から撮影しました。昼間は逆光で赤煉瓦の色が出ませんので、よく晴れていて透明度の高い日の、日没少し前を狙って見ました。 

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