春の佐世保公園 

 

 佐世保市の中心部、佐世保川沿いに市の佐世保公園と米軍管理のニミッツパークが、金網で隔てられてはいるものの出入りは自由で、まるでひとつの公園のように隣接しています。中学校のころまで自宅がここのすぐ近くでした。そのころは現佐世保公園部分もまだ米軍管理地で、佐世保川にも橋がかかっておらず、ただ遠くから眺めてあそこには何があるのだろうと時々訝しく思うだけの場所でした。

 成人するころには佐世保公園部分は返還され、佐世保川にも橋がかかり、まだ米軍管理地のニミッツパークも深夜を除いて立ち入り自由になりました。

 佐世保公園には大きな楠の木陰、佐世保川沿いには桜とツツジ、ニミッツパークでは建物や公衆電話がアメリカの雰囲気を醸しだしており、好きな場所のひとつです。

 この佐世保公園から見て佐世保川の対岸にある佐世保共済病院が、創立90周年記念事業として「長崎県北の自然」写真コンテストを実施するというチラシをカメラ屋で見かけました。

 全国版の大きなコンテストで入選したいのはもちろんですが、地元限定の小さなコンテストにも色々な魅力があります。入選の確率が高いのはもちろんのこと、入選作がポスターやカレンダーになったり、目立つ場所で展示されたり、地元の新聞に掲載されたり・・・等々です。

 このコンテストも入選すれば病院内に展示されるとのこと。十分な動機になりました。考えなければならないのは「県北の自然」というタイトル。このタイトルをそのまま受け取るならば山・川・海・動物・昆虫等のネィチャー系の作品を出さなければならないわけですが、私は病院で展示されるのだから要は「心和むような写真」であれば良いのだと解釈しました。

 出品したのは上の写真です。2001年の4月6日、愛用のコンタックスG2の中に残った何枚かのフィルムを消化してしまおうと会社からの帰りに佐世保公園に立ち寄った時のものです。日没間近なので三脚も持参。レンズはゾナー90ミリ。近くの桜から遠景までピントを合わせるためf22まで絞りました。光が射し込む角度が良くて納得の一枚でしたし、なにより共済病院からすぐそこに見える場所なので審査上有利に働くのではないかとの見え見えの計算も働いています。

 審査の結果、なんと市長賞をいただくことができました。光武市長に直接手にとって選んでいただいたという噂も聞きましたが本当のところは判りません。

http://www.kkr.sasebo.nagasaki.jp/contents/contest.html

 しかもこの写真は大きなタペストリー(壁掛けスクリーン)に仕立てていただき、病院二階の壁面を飾ることになりました。ちょっと驚くくらいに大きなスクリーンで、横幅は3メートル以上あるようですので原版の100倍位に拡大されていることになりますが、なかなか美しい仕上がりで正に自写自賛の1枚です。

 さらに嬉しいことには、有名人の講演会を毎月開催する「させぼ夢大学」の学長さんが病院を訪れた時にこのタペストリーに目を留められて、学生募集パンフレットの表紙写真に使っていただけることになり、佐世保市内全家庭に市の広報とともに配布されるという幸運にも恵まれました。

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