カワウの帰巣 

 毎年二月と三月は鹿児島の出水平野からシベリアへの鶴の北帰行の季節です。佐世保市上空を午後1時から3時くらいに飛ぶことが多く石岳展望台が最も観察に適しています。しかしこの時期は黄砂がかなりひどく、晴れていても遠方は霞んでいて、何度も展望台に通ってもなかなか良いチャンスには恵まれません。

 黄砂が無かったとしても高く遠くを飛ぶことが多い鶴を見るのはなかなか難しいなぁというのが実感ですが、この時期は夕方になると巣へ戻るカワウの編隊飛行ならば確実に見ることができます。船越の展望台で夕方5時前後に待っていると、海に向かって左側の俵ヶ浦半島上空から右側の大崎半島目指して、数羽から多いときは数百羽の群れが海面近くの低いところを飛んでいきます。大型の鳥類である鶴が整然と飛ぶのに比べると、カワウはバタバタとせわしない羽ばたきで、しかも乱れた隊形で飛びますので風情には欠けているのですが、鶴も近くに来ると鳴き声がギャアギャアと大きくてうるさいので五十歩百歩というところでしょうか。

 

 カワウも鶴も写真に撮ると見分けはつきにくく、日没頃に低く飛ぶカワウの方が風景写真の題材としては適しているかもしれません。この写真はオジカ瀬の手前を飛ぶカワウの群れを300ミリの望遠レンズで撮影しました。

 このカワウの帰巣を見ていると、ウドゴエの音に「鵜渡越」と漢字をあてた地名になるほどと妙に感心してしまいます。

戻る