アサギマダラの飛翔
昆虫写真家の海野和男氏の蝶が飛んでいる風景の写真を見て驚きました。
蝶が花にとまっている写真はじつに良く見かけます。 蝶が花の近くをひらひらと飛んでいる写真もまあまあ見かけます。 しかし氏の写真はまわりの風景をしっかり写し込みながら、飛んでいる蝶が大写しになっているのです。はじめて見る写真でした。機材も意外なもので対角魚眼レンズとストロボの組み合わせです。
後で知ったのですが対角魚眼レンズを昆虫撮影に使う写真家は多く、特にシグマから出ている対角魚眼レンズは最短撮影距離が短くて人気があることが判りました。このレンズなら所有しています。
さっそく物真似の挑戦を始めましたがうまくいきません。問題は蝶の動きについていけないことと、被写体が小さくかつ近すぎてTTLオートストロボでも露出が適正にならないことです。
動きについてはゆっくり飛ぶアサギマダラに当分対象を絞ることで妥協することにしました。それでもまだタイミングが合わないので、機械式シャッターのカメラから電子式シャッターのカメラに本体を替えました。またストロボについても自動露出はあきらめて手動でガイドナンバーを細かく設定できるものに替え、現場でその都度露出を決定するようにしました。
下の写真はこういった試行錯誤を重ねている途中で撮ったものです。キヤノンEOS−1Nに対角魚眼ではなくEF20/2.8レンズをつけて、540EZストロボを使いました。
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近くの山の頂上近く、森の中にアサギマダラが多く飛ぶ場所があります。風景写真には向かない場所で残念ですが、ストロボのテストを兼ねて蝶を追いかけまわしました。
森の中のため背景は暗くなりましたが蝶自体はほぼ適正露出で飛んでいるところがしっかり写っています。
この写真は9月26日の撮影で蝶の季節はほぼ終わりかけていましたので、蝶が飛ぶ風景写真への挑戦は翌年以降へ持ち越しとなりましたが、読売新聞2000年9月「読者のニュース写真」で佳作に入選しました。
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